刑務所ッてのはとても居心地のよい場所なのではないか、と妄想してしまうのである。
自分は3度の飯より寝ることが好き(――というよりは“睡眠不足”という状態が大嫌い)で、平生「目標:7時間半は睡眠をとる」を念頭にその日の予定を決めている。明日は何時から仕事だから何時に起きる、そのためには何時に寝ないと7時間半寝られない――なんてことを昼間のうちから考えているのだ。まァ世の中自分の思うようには進まないものなので、大抵そんなに眠れないのだが。
日本の刑務所における日々の生活は、6時40分起床、21時就寝なんだそうだ。つまり9時間40分も眠る。休みの日にこれだけ寝溜めするんじゃない。毎日9時間40分眠るのだ。シャバでそんなに優雅に睡眠をむさぼれる身分のヒトが居るだろうか?
考えれば考える程にあそこは暮らしやすい世界のような気がする。毎日キッチリ3度の飯が食える。しかも栄養バランスのとれた健康食である。仕事もあるし、仲間もいる。命令してくれるヒトもいるので、自分であれこれアタマを悩ませる必要もない。そして中にいるのは全員男であり、全員坊主! ――なのだ。
以前配達の仕事をしていた時分、府中刑務所の中まで荷物を運んだことがあって、いくら思い焦がれても、結局自分とは縁のない処だろうと諦めていた刑務所に、まんまと入ることが出来た。しかしながら少し拍子抜けで、囚人というのは、まァ坊主といえば坊主なんだが、自分の期待するようなシビアな坊主ではなくて、かなり手ぬるい坊主だった。これでは“世間と決別している”という気概が感じられない。
挿絵はただの理想郷ですね……。「いい大人が坊主にしているとム所帰りだと思われるぞ」と言われたら「刑務所はこんなに短くしない」と言ってやろう。
でもやっぱり毎日9時間40分寝られるのは魅力的だナ……。