男の心中には、女を残酷にレイプしたいという暗黒の欲望がある……らしい。例えばラース・フォン・トリアー監督の映画を観ていると思う。(物語に登場する男達にではなく、監督本人に対して。) なんであんたはそんなに女を虐めたいのだ?
――まァこれはあくまで彼の映画で描かれている男の姿なので、現実の男がそういう生き物なのかどうかは知らないんだが。(自分はまぎれもなく男であるが、訳あってそういう欲望とは無縁の“女性にとって100%安全な男”だ。安全ッてのか、毒にも薬にもならないだけなんだけど……。)
アメリカ犯罪史上初の女性連続殺人犯アイリーン・ウォーノスを、シャーリーズ・セロンが熱演して話題になった作品。この映画ではアイリーンが売春客を殺すシーンが4回出てくる。内容的には徐々に弁解の余地がない、無慈悲で自己中な殺人にエスカレートしていく。
ところで3人目の被害者なのだが、アイリーンが彼の財布に一枚の写真を見つけるところがチラリと映る。車椅子に乗った奥さんの写真だ。これは、そんなに悪いヒトに見えない彼がなぜ売春婦を乗せてしまったのかという理由を説明している。要するに、自分の女房と性生活が営めなかったから他所で女を買っちゃいました、という釈明なのだ。
すんなり飲み込めないものがありはしないか? 自分の奥さんとセックス出来ない状況ならば、他の女を求めるのは仕方ないことなのか。というか、男にとってセックスってそんなに我慢出来ないものなのか?!
「英雄、色を好む」という諺があるが、これは「英雄というのは精力も旺盛なものなのよ」ということではなく、「色を好むヤツだったからこそ、そいつは英雄に成れたのだ」と解釈するべきだと思う。「女にモテたい」「女をモノにしたい」という欲望が彼を突き動かし、ついに彼は英雄にまで成ったのだ。
そもそも人間を含む動物はみな、女を得るための戦いを男同士が繰り広げるもので、そういうモチベーションが全くないヤツは生き物として駄目なのかも知れない。しかしまァ、現実は悲しいかな、英雄になるよりも、性欲に突き動かされて犯罪者になるヒトのがたくさんいたりする訳で。
つーことで、挿絵のハゲは、ウブさ故にアイリーンに殺されなかった、愛すべき我らが英雄です。