もし、これからビデオやDVDで鑑賞しようというのであれば、黒バックに白文字がズラズラとせり上がってきたとしても、そこで停止ボタンを押してレンタル屋さんに返却してはいけない! この映画はエンドクレジットで流れる曲がキモなのである。

 ルイ・アームストロングの名曲“What a Wonderful World”(邦題「この素晴らしき世界」)はテレビコマーシャルなんかでもしょっちゅう使われているし、多くのアーティストがカバーしているスタンダード中のスタンダードナンバーだ。今、どんな曲だかピーンと来ないヒトでも、サッチモの渋い声で「I see trees of green...」と歌い出されれば、すぐに「あ、アレね!」と解ることだと思う。

 曲の歌詞は、緑の木々、咲く花々、青い空に浮かぶ白い雲、ああ、世界って素晴らしいなぁ――という実に呑気な内容である。ところが、同じ曲が『12モンキーズ』の哀しいラストシーンの直後に流れてくると、歌詞のひとことひとことが、ただ漠然と日々を過ごす我々を非難するかのように、胸に突き刺さってくるのだ。(エンドクレジットの曲に、ちゃんと字幕をつけてくれたのはホントに偉い。)

 詩人でもない限り、殆どのヒトは木が緑なのも空が青いのも「素晴らしい」と思ったりしないだろう。あるいはあなたが、この先には絶望の未来があり、そして未来は決して変えることが出来ないと知っているタイムトラベラーでない限りは。

 この世界がなくなってしまうことを知り、初めてこの世界が輝いていたことに気付く――。人間は愚かだ。そして気付いた時はもうすべてが手遅れ、というのは世の中のお約束である。

12 MONKEYS

『TWELVE MONKEYS』
監督:テリー・ギリアム
1995年 アメリカ

「12」 2610px × 3436px 2005/6/26
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ブルース・ウィリス Bruce Willis