題名の「ベント」ッて何かというと、英語では異性愛者のことをストレート(straight:まっすぐな)、同性愛者のことをベント(bent:曲がった)と言うのである。
同性愛者というのはなにも、ホントは女が好きなのに、性格があまのじゃくだから「男がイイ!」と言うヒトたちのことではナイ。自分の気持ちとまっすぐ向き 合った時に、男でありながら男に惹かれてしまうことを自覚し、それを受け入れられたヒトが同性愛者なのである。“結婚”というシステムによってくっついて、醒めたとしても手続きが面倒なので一緒に居続けたりする異性愛者よりも、ホントは、純粋に愛に生きる同性愛者の方が“ストレート”と呼ぶにふさわしい、……のかも知れない。
「まっすぐに、愛が降る」。
――これはこの映画の公開時のコピーである。(このコピーは良かったのだが、サブタイトルの「堕ちた饗宴」と、パンフのピンク文字はなんとかならんかったのか……。)
ナチスによって虐殺された同性愛者のハナシである。ホロコーストといえば誰でもユダヤ人の事を思い浮かべるだろうが、ナチスの絶滅計画の標的になっていたのは、なにもユダヤ人だけではない。なかでも同性愛者は“最も下等な人間”とみなされ、戦後収容所から生還したのも同性愛者が一番少なかったと言われる。
ここでひとつ気付くべき点がある。同性愛者というのは自分でそうだと言わない限りは解らない筈である。「俺は女好きですよ」と嘘をついてしまえば殺されずに済む。実はこのへんがこの映画のテーマになっている。
普通のヒトが観たら、文字通り「命をかけて」ヒトを愛する崇高なラブストーリーに涙するだろう。同性愛者のヒトが観たら、それ以上の“熱さ”を感じる筈だ。要するに「男が男を好きになって何が悪いンだよ!」という、「自分に素直に生きることがどうしていけないんだよ!」という。主人公がピンクトライ アングル(同性愛者の印)のついた囚人服を自らの意思で身にまとう――、このラストシーンにきっと勇気づけらる。
(個人的には、最後は自殺しないで――まァ、遅かれ早かれ殺されるんだろうけど――堂々と石運びを続けて欲しかったナ……。)